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Black Blood Brothers [書籍感想]

 ……なんというか、ひどい勘違いをして、恥ずかしくなりました。
 最初から言われていたことなのに。

 この戦いは特区聖戦の物語ではなく。
 「人と吸血鬼」の物語だったのに。

 それを見失っていた自分が、情けなく、恥ずかしく。
 なんというか、あれだ。

 言葉にできない。


BLACK BLOOD BROTHERS11  ―ブラック・ブラッド・ブラザーズ 賢者転生― (富士見ファンタジア文庫)

BLACK BLOOD BROTHERS11 ―ブラック・ブラッド・ブラザーズ 賢者転生― (富士見ファンタジア文庫)

  • 作者: あざの 耕平
  • 出版社/メーカー: 富士見書房
  • 発売日: 2009/05/20
  • メディア: 文庫



ダン・サリエルとイドラの魔術師 [書籍感想]

個人的評価:★★★★★(星五つ)


神曲奏界ポリフォニカ ダン・サリエルとイドラの魔術師 (GA文庫 あ 4-2)

神曲奏界ポリフォニカ ダン・サリエルとイドラの魔術師 (GA文庫 あ 4-2)

  • 作者: あざの 耕平
  • 出版社/メーカー: ソフトバンククリエイティブ
  • 発売日: 2009/04/15
  • メディア: 文庫



 社会人生活に気を取られていて、ブログの事なんか忘れていたのになあ……
 これを読んだら、思い出しちゃいましたよ。思い出しちゃったら、書かずにはいられませんでしたよ。

 凄い。

 もう、本当にそれだけしか出てこない。
 読んで感じるのは、既にもう『断絶』だ。
 これを読んでしまったら、感じてしまったら、もうあざの耕平という作家を……あるいは、作家という集団全てを、自分とはどうしようもなく違う存在なのだと感じてしまいますよ。
 第三話、第四話のあの命題に対する議論に、息を呑まずにいられない。

 才能という、どうしようもないものの象徴。
 作中でも触れられているように、淡く、漠然としているが、美しく、尊いもの。
 なんの力も持たない代わりに、未来に向かう支えになるもの。
 それを粉々に打ち砕くもの。どうしようもなく、厳然と存在する現実。
 ここまで息を呑むほど傲然と突きつけられるとは、思わなかった。

 アマディアの幼馴染、リジア。『自分の音楽』を求めてあがく少女。
 あの姿を見て、どうしようもなく、私には無理だと思ってしまいます。
 だって、自分には『それ』がないことを知って、あれだけ嫌というほど思い知らされて、泣いて、喚いて、血を吐くような、胸をかきむしりたくなるような思いに苛まれてなお、求めようとなんて、私には。
 諦めるという選択が間違っているとは思いません。
 それでもなお、みっともなくもあがき続ける彼女の姿が、尊いというよりもただ遠い。

 きっと、彼女が自分の求めるそれを手にする事はないのだろうけれど。
 それでもきっと、それすらも「ただそれだけのこと」なのでしょう。

 うん、自分で書いてて思ったけど、この本の後半を読んだ感想は、『ただそれだけのこと』の一言に突き詰められる気がします。
 サリエルのかつてのパートナー、シャルマ。
 夢も、希望も、予感も、可能性も、想いもなにもかも、才能すら否定するこの男は、でもどうしようもなく公平なんだよなあ。
 ある意味、純粋なのかもしれない。
 彼がサリエルのかつてのパートナーで、今は道を別ったということに、どうしようもなく納得。
 ここまで似ていて、こんなにも決定的に違うんじゃ、こうなるしかないとすら思えます。
 それでも、あの二人の酒の席には微笑が浮かんできてしまいましたが。
 作中ではぼかしていましたけど、どうしてサリエルとシャルマとモモがああなったのか、誰だって分かってしまうよなあ……

 ともあれ、やっぱりあざのさんの作品はどうしようもなくあざのさんの作品だなあ。と変なところで納得。
 今月はBBBの新刊も出ますし、至福の月ですなあ。

 ……第二話のバカノリについては触れると余韻があれなので割愛(苦笑

最近あんまり感想を書いていませんが [書籍感想]

 結構読んでますのよ?(なぜか疑問形

 最近読んだけど感想書いていないのはこんな感じ。

ラノベ部 (MF文庫J)

ラノベ部〈2〉 (MF文庫J)

輪環の魔導師〈5〉傀儡の城 (電撃文庫)

血吸村へようこそ (電撃文庫)

ヒメゴトシステム 1 先輩、セップクです! (角川スニーカー文庫)

六畳間の侵略者!? (HJ文庫)

 あとはイスカリオテ読んでやっぱりこの人の話は面白いなあということで、現在飛び飛びで読んでいたレンタルマギカを改めて揃え中。
 その内改めて感想を書くつもりですが、ざっと評価付けするとラノベ部、輪環の魔導師は★四つ、血吸村以下は★三つといったところ。

 しかしまあ、血吸村、ヒメゴトシステム、六畳間と笑えるだけで面白くはない作品なのが心残り。
 個人的にギャグの中にも一本筋の入った話が好きなので、ただ笑えるだけ、という話は評価が低くなりがちです。
 というか、血吸村の作者は阿智太郎さんですからともかく(誉め言葉です。阿智さん大好き)、ヒメゴトシステム、六畳間は意味ありげな伏線張りまくってそのまま放置しておくのはどうかと思うんだよなあ……
 シリーズだから、ってこともあるのだろうけども、明らかに気になる点とか出しまくっておきながらその後全然触れられないっていうのは正直どうかと思う……
 私がかっちりした話が好きなだけなのかしら。

やっぱり凄い。 [書籍感想]

 とらドラ!の10巻の感想の記事で、こういう凄い作品には感想も上手く言葉が出てこない、筆力が出るなあ、という事を書いたのですが。

 こちらのブログの感想を読んでつっかえていたものが取れました。
 元々、KanonSSでとてもとても素晴らしい作品を書いていらっしゃった方だからかは分かりませんが、ここの感想は本当に素晴らしい。

>彼らには想いはあっても、絆がなかった。

 これほど端的にとらドラ!の問題の核を表現する言葉を、私は寡聞にして知らない。
 そうだ、そうだ、それなんだ。と心が同意の声をあげ続けています。
 もし私の拙い感想を読んで興味がわいた方がいらっしゃるのなら、この素晴らしき感想をご覧いただきたい。
 作品自体が素晴らしいというのはもちろんなんですが、それでもその素晴らしさを見事に伝える感想と言うのはなかなか書けるものじゃないです。
 このブログの筆者である八岐さんの書くSSもですが、感想も私の中で最高峰に尊敬するお方。
 信者と言っても過言ではないかもしれないなあ(マテ
 それくらい大好きです。

イスカリオテ 2 [書籍感想]

個人的評価:★★★★☆(星四つ)


イスカリオテ〈2〉 (電撃文庫)

イスカリオテ〈2〉 (電撃文庫)

  • 作者: 三田 誠
  • 出版社/メーカー: アスキーメディアワークス
  • 発売日: 2009/03/10
  • メディア: 文庫



 「――本物なんて、どこにもないんですよ」

 偽者が語る想いの、一体何がニセモノですか?

 結局、今回のイザヤの悩みは、どう考えたところで答えなんて出るはずのない悩みですよね。
 自分が兄の偽者を演じること、それにすがる人々の希望や期待。
 かつて、兄を『食べて』しまったかもしれない少女、朱鷺藤玻璃の安堵。
 その全てを裏切っているという想い。
 『偽者』の自分ではなく『英雄』たる本物の九瀬諫也だったら、と思ってしまう自分。

 作中、自分が偽者であることを悩んでいるイザヤが、単なる劣等感ではない、厳然たる事実だ、と言ってますが、間違いなく単なる劣等感です。
 だってもう、『九瀬諫也』はどこにもいない。
 死んだものは生き返らない。二度と英雄になんてなれはしない。
 そんな、もういない『本物』だったらもっと上手くやれていた、という事実は、結局今を生きるイザヤ達には意味のないifでしかない。
 そんな悩み、答えなんて出るはずがない。
 そうして悩んでしまうのが、人間という生き物なのだけれど。

 だからでしょうか。
 ノウェムが呟く自分の名前を聞き、果てのない悩みを蹴り飛ばして咆哮を上げるイザヤの姿が、熱い熱い。


 それにしても、今回の<獣>は完っ璧に玻璃(獣)に食われてたなあ……(苦笑
 存在感からしてザコ、あるいは中ボス。いや、ラーフラとノウェムのコンビに完勝したりと、実力的には前回の<強欲>に勝るとも劣らないのだろうけども、格としてはどうしても小物だわ、こいつ。
 いや、単に玻璃(獣)の黒幕っぷりが異常なだけか。
 底が見えない、という一点だけでもこいつの恐ろしさがぷんぷん匂ってきます。
 っつーか、今分かってる情報から推察すると、明らかに九瀬諫也を喰らってるんですよね、こいつ。
 最後の最後で<獣>となって『九瀬諫也』が敵になる、という展開が非常に予想できて怖いのですが(汗

 あと、新登場ラーフラ君。
 なんだか順調に玻璃とのフラグが立ってる気がするのは気のせいですか?(苦笑
 大淫婦の方は異端なんてレベルじゃないんですがw
 まだ敵の敵なだけという感じの関係なラーフラが、今後どのような立ち位置についてくるのかが気になるところ。
 というか、巻頭カラーのダビデの説明で『聖人とみなすかは時代によって大きく異なる』とか書いてありますが、そんな聖人の断罪衣を着るラーフラが異端審問官というのは皮肉が利いてるなあ。

 いやまあ、それを言ったら一巻の時点から分かっている通り、英雄『九瀬諫也』が着、偽者のイザヤが手にした断罪衣が、聖人暦から除去された聖ゲオルギウスという辺りが筆頭なのだけれど。
 そういえば美術館での美術館での玻璃とのデートの際にもゲオルギウスの話が出たところで中断されてましたが、やっぱりあの美術館には飾ってなさそうなんですよねえ。

 本物と偽者をテーマにした物語の骨子とかは大好きで、間違いなくこれからも期待のシリーズです。
 続刊楽しみ。
 ただ、なんだかんだいって今回の話はクライマックスまでイザヤが悩み続けていてフラストレーション溜まったので、今度はもっともっと熱い話を期待したいなあ。

個人的評価の基準について [書籍感想]

 本の感想ではないですが関係あるので書籍感想カテゴリに書いてみる。

 割と適当に評価つけていたんですが、しばらく経っていくうちに段々基準が曖昧になって読んだ時のテンションで決まってきてる気がし始めたので、自分の中で基準を整理。
 以下のようにすることにしました。

評価:★☆☆☆☆(星一つ)
 読んでいて不快になった作品。最後まで読めなかった作品、など

評価:★★☆☆☆(星二つ)
 文章に違和感を感じすぎる作品、印象に残らない作品、など。

評価:★★★☆☆(星三つ)
 文章は問題ないが、そこまで面白いとは思わなかった作品、など

評価:★★★★☆(星四つ)
 文句なく面白い作品。

評価:★★★★★(星五つ)
 単に面白い、という域を超えて、作者に畏敬の念を覚える作品。

 とまあ、こんな感じ。
 この評価に、個人的お気に入りに+がついたり、上手いとは思うけど好みに合わない、という時に-がついたり。
 とはいえ、星五つが最高評価ではあるけれど、必ずしも星五つの作品が大好きとは限らないんだよなあ……
 秋山瑞人先生の「イリヤの空、UFOの夏」とか、浅井ラボ先生の「されど罪人は竜と踊る」とかに評価をつけるなら、文句なく星五つなんですが、正直二度は読みたくない……orz

 また、それに合わせて今までの書籍感想の評価をいくつか修正。
 修正したのは以下のとおり。

・氷室の天地:★★★★★(星五つ)⇒★★★★☆(星四つ)
・ロウきゅーぶ!:★★★★★(星五つ)⇒★★★★☆(星四つ)
・東京ヴァンパイア・ファイナンス:★★★☆☆(星三つ)⇒★★☆☆☆(星二つ)
・パララバ -Parallel lovers-:★★★☆☆+(星三つ)⇒★★☆☆☆+(星二つ)
・学校の階段:★★☆☆☆(星二つ)⇒★☆☆☆☆(星一つ)

 とりあえずこれで少しは評価付けが楽になるはず。
 とはいえ、誰が見てる訳でもないのだけども(苦笑

メグとセロン4 [書籍感想]

 個人的評価:★★★★☆(星四つ)


メグとセロン〈4〉エアコ村連続殺人事件 (電撃文庫)

メグとセロン〈4〉エアコ村連続殺人事件 (電撃文庫)

  • 作者: 時雨沢 恵一
  • 出版社/メーカー: アスキーメディアワークス
  • 発売日: 2009/03/10
  • メディア: 文庫



「み、み、み、見たか? 髪を下ろしたメグミカさんは世界最強だぞ!」

 このムッツリめ!!

 うん、まあ、感想の全てを上の一言で表せるようなお話でございました。
 まあこの感想、メグとセロン全般に言えることなんですがw
 アリソンから続くこのシリーズは突っ込みどころ激しい恋愛模様だと思います。
 もちろん、ところどころキノの旅にも共通する、童話にも似た考えさせられる部分が多いのだけれど。

 今回はラリー、ニック、ナータのセロンプッシュが非常に激しく、もはや代名詞にもなりそうなセロンの内心の拍手喝采がえらく出てきましたね。
 これだけ内心動揺しまくっているのに顔には一切出ないセロンはどこかおかしいと思う(苦笑
 というか、イラスト見ただけじゃセロンがどんな性格してるのか一切伝わらないよなあ……
 メグがセロンの気持ちに気がつかないのは、絶対メグが鈍いからじゃないと思います。

 上記引用時の、髪を下ろしたメグのシーンとか、きっちり挿絵ついているんですが、キラキラと光る表現の数が半端じゃありません。
 いやまあ確かに可愛いとは思いますが、明らかにこれセロンの主観入ってますから(笑

 そして脇に控えながらもよく描写されているのがラリーとナータの幼馴染みコンビ。
 この二人、本当どういう関係なんだか。
 気の置けない中なのは分かるし、ラリーの方は裏表なさそうな感じなんですが、ナータの方がやたらちょっかいかけまくってるんですよねえ。
 とはいえ、殺人が起きた際とかには軍人見習いとしてのラリーの判断を尊重して我を抑えたりと、信頼しているのは間違いないのですが。
 何でもかんでも恋愛方向に結びつけるのもどうかと思いますが、どう思っているんだか。

 ニックの特技は……まあ、セロンの態度的になんとなく予想はついてましたが、一体どんな幼少時代だったのかが気になりますねえ。
 過去の件といえば、無論ジェニーもなのですが。
 確かにあの写真見たら、どうしてここまで変わったんだと首を傾げるのは仕方のないことだと思うんだ。
 ボディーガードの会話から、事情は類推できますが……その内その辺も出てくるのかしら。

 というか、基本的にアリソンを始めとしてこのシリーズ、そんなに巻数は重ねないことが多いので、どんなに長く見積もってももう折り返しには着いてるんですよね。
 なんか色々出てきてますが、どういう風に着地するのかしら。
 いや、一巻の初めでどうなっているのかはある程度出ているから、着地点は分かっているのだけど。

とらドラ! 10 [書籍感想]

 個人的評価:★★★★★(星五つ)


とらドラ〈10!〉 (電撃文庫)

とらドラ〈10!〉 (電撃文庫)

  • 作者: 竹宮 ゆゆこ
  • 出版社/メーカー: アスキーメディアワークス
  • 発売日: 2009/03/10
  • メディア: 文庫


 近所のアニメイトで既に売っていたので読了。

 このお話は、最初から最後まで「子供」の物語だったんだなあ、と読み終えて改めて思う。
 正直に言えば、竜児や大河の行動や論理に、納得がいかなかったり首を傾げたりするところも多い。
 多いのだけど……完璧に呑まれちゃったなあ。そういう冷静さなんて。

 竜児達の言ってることは、幼稚で、単純で、身勝手な論理なのかもしれない。
 現実を見ていないとは、自分達でも気づいている。気づいていて、それでも願ってる。

 でも、じゃあ子供と大人ってどう違うんだろう、と思った時、願ってる内容に違いはないのだと思う。
 大人って奴は、その願いが荒唐無稽だからと、諦めてしまうだけで。
 子供と大人の違いなんて、多分それくらいで、ほかは何にも変わりないのだと思う。

 そりゃまあ、世界平和とか誰も犠牲にならない世界とか、そんな大げさなものは確かに荒唐無稽だと思う。
 でも、竜児や大河が願ったことって、そんなに荒唐無稽なんだろうか。
 すれ違ったり、傷つけあったり、遠ざけあったり、触れ合ったり。
 その果てに、幸せのために犠牲を切り捨てるのではなく、幸せになれる場所を作り上げる道を選んだ竜児達が、なんだかまぶしく思います。

 しっかしまあ、狼と香辛料とか、個人的に五つ星つけるような作品全般に言えることなんですが、上手く言葉が出てこねえ……
 こういうのにも文才というか筆力がでるもんだなあ、と苦笑いです。

 とまあ、真面目な事を述べた後で、素直な感想。
 こっぱずかしゃー!!!

 最初に述べたように、このとらドラ!というお話は「子供」のお話な訳で、子供と大人なんて諦めてるかどうかだ、なんていいました。
 しかし……こんなこっぱずかしいことを連発されるのもある種子供の特権なのかもしれん(汗
 愛とか恋とか大好きだとか、挙句の果てにはアレですよ。
 もう、それがところどころ出てきてみてるこっちが恥ずかしいわ!

 それにしても、「とらドラ!」もこれにて終幕。
 アニメ化されたりと人気絶頂と言ってもいいような状況なので、正直新刊で最終巻と見たときは驚いたなあ。
 『人気がある=儲けになる』というのは出版社にとって最も大事な公式なので、ここで終わるとは正直思っておらず、そして嬉しい。
 人気にかまけてダラダラ続けるよりは、ちゃんと目指していた終着点へと向かってくれた方が好きです。
 これを読む前日、友人宅で「竹宮先生は漢だ!(※竹宮ゆゆこ先生は女性です)」という話をしたくらい(マテ

 にしても、こうして読み終えた衝撃が薄まってくると、やはり物足りない部分はあるなあ。
 実乃梨との感情とか、納得はしているけど理解はできない、という感じだし。
 この辺り、本編は終わったけれどスピンオフで描いてくれないかしら。

 ともあれ、3年続いた「とらドラ!」もついに完結。
 竹宮先生、お疲れ様でございました。素晴らしい物語を、どうもありがとうございます。

とある飛空士への恋歌 [書籍感想]

 個人的評価:★★★★★(星五つ)


とある飛空士への恋歌 (ガガガ文庫)

とある飛空士への恋歌 (ガガガ文庫)

  • 作者: 犬村 小六
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2009/02/19
  • メディア: 文庫



「これはきれいに飾り立てられた追放劇だ」
数万人もの市民に見送られ、盛大な出帆式典により旅立ちの時をむかえた空飛ぶ島、イスラ。
空の果てを見つけるため――その華やかな目的とは裏腹に、これは故郷に戻れる保証のない、あてのない旅。
式典を横目に飛空機エル・アルコンを操縦するカルエルは、6年前の「風の革命」によりすべてを失った元皇子。
彼の目線は、イスラ管区長となった「風の革命」の旗印、ニナ・ヴィエントに憎しみを持ってむけられていた……。
『とある飛空士への追憶』の世界を舞台に、恋と空戦の物語再び!!

 ……って、続きものかよっ!!

 今更ながら読了。
 ……しかし、前作の「とある飛空士への追憶」が一冊で完結してる話だったので、てっきりこれも一冊で終わるのだろうと思って読んでいたのですが、プロローグの旅立ちから、過去の話に移ってからがやたら長い。
 おいおい、もう半分すぎちゃったけど、これでまとめられるのか……とか思ってたら、続き物でした(苦笑
 あらすじにも続き物とは書いてないから、すっかり勘違いしてましたよorz

 物語の内容へと話を戻すと、「追憶」で分かっていたことだけど、この人の描く空というのは本当に凄い。
 人にはあまりに遠く広く、そこに至るまでに悲しみや憎しみが剥がれ落ちて透き通っていく様には畏れすら感じる。
 ミハエルとのあの空と、ヒロインとのあの雲の印象があまりにも鮮やかに心に残ります。

 でもまあそれとは別に、今回は随分と難しいキャラクターを主役に置いて来たなあ、というのも素直な感想。
 主人公のカルエル・アルバス君、ヘタレで生意気、しかも周囲の人間を侮蔑していると、かなり感情移入しにくい性格してます。
 読んでたら、テイルズオブジアビスの初期ルークを思い出しました(苦笑
 もちろん、最愛の母の遺したものと、革命後に引き取られることになったアルバス家との交流を経て、大分そうしたところは矯正されているのですが。

 ただまあこいつ、根っこの部分では全然変わってないんだよなあ。
 大切なものとそうでないものをはっきり分けて、そうでないものを侮蔑しているところは全く変わってないんですよね。
 皇子時代は母マリアだけが大切だったのに対し、今のカルエルにはアルバス家の人間が加わっただけ、という感じ。
 単なる一般人になった後でも相変わらず騎士身分の人間を見下しているし、自転車に乗っていることが気に食わないというだけでそのまま見過ごそうとしているし。
 母親を奪った革命の象徴としてのニナ・ヴィエントを盲目的に(といっていいと思う)憎んでいるのがその最たるものか。
 母親本人が憎まないで、といっているのに、見事にスルーしているのは感情として仕方のないことだとは思いますが。
 ただ、逆に言うと大切なものに対する姿勢は本当に純粋だから、悪いところばかりではないのだけど。
 いじめっ子とのケンカのところとか、ミハエルとのあの別離のところとか。
 特にミハエルとの別離は空のシーンに勝るとも劣らないくらいに心に響きました。
 ちょっと泣きそうだったかも。
 これがツンデレの破壊力というやつでしょうか。絶対違います。

 ちなみに、どうでもいいですがクレアの正体は読む前に目次のタイトルと人物紹介だけで分かった(笑
 明らかに隠すつもりのない話運びなので、別に自慢するようなことでもないですが。

 カルエル・アルバス、アリエル・アルバス、母マリアの言葉、ニナ・ヴィエント、クレア・クルス、そして母マリアの遺した言葉。
 この一巻目は物語の要素をまき終えた、という感じ。
 これからそれらがどのように絡み合っていくのか、非常に楽しみな作品です。
 やっぱり最大のキーはマリアの残した「許してあげなさい」という言葉だよなあ、などと思いつつ。

氷室の天地1,2 [書籍感想]

 個人的評価:★★★★☆(星四つ)





氷室の天地Fate/school life 2 (2) (IDコミックス 4コマKINGSぱれっとコミックス)

氷室の天地Fate/school life 2 (2) (IDコミックス 4コマKINGSぱれっとコミックス)

  • 作者: 磨伸 映一郎
  • 出版社/メーカー: 一迅社
  • 発売日: 2009/02/22
  • メディア: コミック



 もう駄目、完敗。笑いが止まらないw
 「月光はレンズを越えて」も実は購入していまして、魔伸さんって面白い4コマ描く人だなあ、とは思っていたんですが。
 甘く見てましたw

 なんでしょうね。1つ1つのネタが面白いのはもちろんなんですが、物凄くテンポよくぽんぽんぽーん、とネタが続くものだから、どんどん笑いの振幅が激しくなって、腹を抱えて大爆笑してました。
 個人的にお気に入りは三枝由紀香の家のイメージネタ。
 明らかに三丁目の夕日が元ネタなんだけど、個人的には中学時代に読んだ鎌倉ものがたりの印象が強くてそっちにしか見えなかったw

 というか、これが商業誌に連載している作品というのが恐ろしい。
 パロネタとか多すぎて、最初同人誌の総集編かと思いましたがなw
 前述した西岸良平さんの「三丁目の夕日」とかキ○肉マンとか、地味にぼく○ののOPとかもネタにされてるしなあ……
 これ、著作権的に大丈夫なの? と不安になるけど、腹抱えて笑ってしまうw

 駄目だこれ。文句なく面白いw
 オススメオススメ。
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