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狼と香辛料 10 [書籍感想]

 個人的評価:★★★★★(星5つ)


狼と香辛料〈10〉 (電撃文庫)

狼と香辛料〈10〉 (電撃文庫)

  • 作者: 支倉 凍砂
  • 出版社/メーカー: アスキーメディアワークス
  • 発売日: 2009/02
  • メディア: 文庫



 凄い、という言葉しか出てこない自分を恥じるべきなんだろうか。
 どうしても、自分の愚かしさよりも、この人の物語に触れられたことが嬉しくてたまらないのだけど。

 今回の物語は、ターニングポイントと呼ぶべきなんだと思う。
 クメルスンで出会った白鳥、ディアンとの出会いと似ているけれど、決定的に異なる、新しい時代に生きる古い神との出会い。
 彼が生き、成してきたこと。
 それはこの二人にとって、あまりにも大きな影響を与えているように思う。

 今回の物語は、ヨイツの賢狼ホロではなくて、本当にただのホロが現れたなあ。
 隠していた訳ではないけれど、ずっとあらわれることがなかった、ただのホロが。
 そして、その側に立つロレンスを見て思うんだ。
 ホロと旅を始めたばかりのロレンスに、あのホロを支え、包み、守ることができただろうかと。
 旅を続けて、何度となく事件に巻き込まれて、ホロとの関係に悩んだり戸惑ったり、笑ったり、触れ合ったり。
 そういったことの積み重ねが、二人の関係をいつの間にかこんなにも変えていたんだな、と改めて思う。
 時が流れるのを感じるというのは、こういう事なのかもしれない。

 二人は変わっていくし、時は流れていくし、関係も変わっていく。
 指し示された道は、既に知っていた道の1つだったけれど、その道を行く意味をロレンスは知ったと思う。
 旅は続く。
 けれど、しんしんと降る雪のような、終わりの音が聞こえてくるような気がする。
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